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謎めいたエックス博士

第一章 ピーターの夢

 ピーターは、理科の先生のサリバン先生が自分のレポートを見るのを落ち着かない様子で待っていた。
 細胞分裂についてだった。ピーターはそのレポートは完璧だと思っていた。彼の一番好きな先生からのほめ言葉を待ちきれないでいた。
 「これはとてもいいですねぇ。」
 サリバン先生はゆっくりと言った。彼女は何度も何度もレポートを見直した。
 ピーターはサリバン先生の生徒のレポートをしっかり見るところが好きであった。先生の中には、ちらっと見てあんまり考えずに成績をつける人もいる。

 「これでノーベル賞とか受賞できるかな?」ピーターは目を輝かせながら聞いた。 サリバン先生はピーターの過度に興奮した目を見ながら優しい声で言った。「ピーター、あなたはどんなに自分のレポートが素晴らしいと思っても満足しすぎない方がいいわよ。いつかさらにいいものを思いついて賞賛されるかもしれない。それまではがんばらなくちゃいけないの。」

 ピーターはちょっと残念そうであった。「僕のレポート好きじゃない?」
 「いえ、結構ですよ。ただ満足しすぎないで、自分を超えられるようにもっと努力してほしいというだけ。」
 ピーターは真剣な顔をした。「もし、いつの日か僕が自分の記録を上回ってノーベル賞を受賞したら、先生は見に来てくれますか?」
 サリバン先生は微笑んだ。「ええ、もちろん行くわよ。」



 その夜、ピーターは自分の理科のレポートを見直したが、何も悪いところを見つけられなかった。『これは、きっと僕にまだ十分な科学的知識がないからだ。』と彼は気づいた。もっと勉強して学習しなければいけない。
 ピーターは、目標を達成するために、一日二時間あるいはそれ以上でも勉強していいと思っていた。その目標というのは、サリバン先生を感心させることであった。

  女の人が病院のベッドの上に横たわっていた。今にも死にそうだ。ピーターはどうすれば彼女の死を止められるか分からなかった。
 看護婦や医者は焦りながら走り回っている。
 ピーターは、『なぜ人は死ななきゃいけないの?なぜ?なぜ?』と疑問に思った。

 ピーターはベッドで目が覚めた。彼は夢からのショックによる影響で、長い間じっと天井を眺めていた。
 ピーターは窓の外を見た。朝だった。空はベビーブルーで、外の木々はゆっくり揺れ動いていた。彼は、葉の揺すれる音を聞いて、心拍数が次第にゆっくりになっていくのを感じた。『またただのアホな夢だ』と自分に言い聞かせた。

 しかし、ピーターはどうしても大変悲しいことが起きる予感がしてならなかった。誰かとても大切な人が自分の人生から消えてしまうのではないかと…永遠に。

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