従妹ゆみちゃんの娘りかちゃん(3歳)と1日を過ごしてみて
Ⅰ はじめに
親しい従妹のゆみちゃんに娘のりかちゃんが産まれたのは、私が中学2年生の時だった。それまでは親戚の中で私より年下の人がいなかったので、初めは祖父や叔母など皆に注目されかわいがられているりかちゃんを見て一種の違和感を覚えた。また、自分からはどのようにして接すれば良いのかよく分からないで少しとまどってしまうこともあった。さらに毎日非常に忙しい生活をしているので、隣の隣の家に住んでいながらも会える機会はとても少なかった。そこで、この宿題を機に、りかちゃんとゆっくり一日一緒に過ごしてみようと思い、従妹のゆみちゃんにお願いをした。自分からりかちゃんを遊びに誘うのは今回が初めてで、多少困ったこともあったが、周りの人からの協力を得て、とても楽しくて思い出に残る一日を過ごすことができた。りかちゃんもまた楽しんでくれていたようなので、嬉しかった。一世代違うと、やはり感覚なども全然違うが、それだけに年下の子供と一日一緒にいたことでたくさんのことを学んだ。ほんの少しの間ではあったが、小さい頃の自分に戻れる感じがした。また、小学校、中学校、高校と教育を受けてきた私には、まだ幼稚園にも入っていないりかちゃんを暖かく見守る余地があったが、一方でまだ3歳なのにとてもしっかりしているりかちゃんを見て少し驚いた。そして一緒にいることによって遠くから見ている時以上にかわいらしく思えた。
Ⅱ りかちゃんのプロフィール
・誕生日 4/27 (現在は3歳)
・体型 普通 →身長100cm、体重14kg
・好きな食べ物 納豆、焼き魚、トマト、ブロッコリー、がんもどき、枝豆、とうもろこし
→ほとんど大人が食べる物と同じだが、香辛料の使用は避ける。野菜をなるべく多く食べさせる。
・趣味・遊び 絵本をながめたり、ソファに座っている祖父(私の叔父)に「本読んで下さい」と頼む。おもちゃはほとんどしまってあるが、あれば広げて遊ぶ。また、パズルや紙に書いてある迷路が好きで、旅行に行く時など飛行機に乗っている間できるようにと買い溜めしても、開くといつも既にやってあったりする、というぐらい好きらしい。折り紙も時々やって、折るだけでなく、はさみで切ってみたり、のりで適当にくっつけてみたり、思いつくままに遊ぶことが多い。
・言葉遣い 会話が成立する程の言葉は覚えた。何か聞かれると、その意味を理解し返事することができる。また、丁寧な言葉遣いもある程度できる。
・生活時間 火曜日・木曜日 ジャックという幼児教室が9:40~12:40の間あるので、8:30~9:00頃に起きて朝ごはんを食べてジャックに行く。ジャックでは工作をしたり、歌を歌ったり、ダンスを踊ったり、鉄棒などの体操をすることもある。そこでお昼ごはんのお弁当を食べて、家に帰ってからも少し食べる。そして15:00頃から昼寝をして、1時間半ぐらいしたら起きる。それからは母・ゆみちゃんは夜ご飯の準備をしなければならないので、1人遊びをしたり、本を眺めたりする。そして夜ご飯を19:30~20:00頃に食べてからお風呂に入る。寝るのは22:30~23:00頃で、全部で11時間ぐらい寝ている。
それ以外の日 特に早起きする必要がなければ11時間ぐらい寝かせて、その代わり昼寝はとらない。
Ⅲ りかちゃんと過ごした1日の模様
まず朝はお客様が来るために家の中を片付けたり、昼食のスパゲティミートソースを作ったりした。ミートソースには玉ねぎ、にんじん、セロリ、マッシュルームを細かく刻んで炒めて、牛ひき肉も加え、トマトソースや中濃ソースで味付けした。また、りかちゃんと遊べるゲーム、かるた、画用紙、クレヨンなども用意した。
そしていよいよ12時半過ぎにベルが鳴り、従妹のゆみちゃんと白い小さなドレスを着て、髪は二つ結びのりかちゃんがいた。りかちゃんは初めは少し恥ずかしがっているようだったが、ゲームを開けると、その数々の駒に興味を持った。ゆみちゃんと私と3人ですごろくのゲームをやり始めたが、りかちゃんは途中で3人の駒を元に戻してしまったので、そこで中断した。次にミニビリヤードゲームでボールを指で突いて遊んでいると、昼食の支度ができたので、ダイニングルームへ移った
りかちゃんの椅子には座布団2つを乗せて少し高くし、ドレスを汚さないように前掛けをつけた。りかちゃんは家から持ってきた小さなフォーク、スプーン、ナイフを使ったが、持ち方は上手だった。スパゲティミートソースはあまり食べなかったが、付け合わせのとうもろこしは「おいしい」と言って食べてくれた。かじることはできないので、粒をスプーンですくって食べた。スプーンですくいにくいのは「ナイフさんに手伝ってもらって」とゆみちゃんに助言してもらってきれいに食べることができた。飲み物はお茶ではなく牛乳を好んだ。
りかちゃんは応接間のベランダの向こうを指さして、「水色のはるの家が見える。その隣が淳ちゃんの家」と言った。あまり見慣れていないはずの景色の中で、自分の家や親せきの家をしっかり認識できるのはすごいと思った。
やがてりかちゃんは応接間からビリヤードボードを取ってきて、私に「ボール指で突いて遊ぼうよ」と言ってきた。私はまだ食べている最中ではあったが、席を立ってビリヤードで遊んだ。また、小さなトランプにもりかちゃんは興味を示し、広げてみた。この時りかちゃんはこれらのたくさんのゲームが入った箱に、このトランプが使われているブラックジャックというゲームが描かれているのを指さした。私は長年このバラエティゲームを使いながら、トランプはブラックジャックで使うことを知らなかったので、りかちゃんの鋭さに驚いた。しかし、驚きはまだまだたくさんあった。
次にりかちゃんが興味を持った物は電子辞書であった。机の上に置いてある、薄っぺらい電子辞書を手に取って「これ誰の?」とたずねた。私が「うちの」と答えると、不思議そうに眺めていた。りかちゃんのお母さんのゆみちゃんもお父さんのとみやさんも機械に割と強いので、その遺伝もあるのかもしれない。そして、「これどうやって使うの?」と聞いて、いとこのサニーが「まず電源ボタンをつけて…」と答えると、驚くべきことに誰にも電源ボタンの位置を教えてもらう前にパッとオレンジ色の電源ボタンを見つけて電源をつけることができた!
また、電子辞書を一度閉めてから、再度開ける時に小さなレバーを押して開けるのも誰にも言われなくてもできた。このような勘の良さや頭の働きには、私だけなく、姉や母もすっかり感心していた。
その時、突然ベルが鳴り、隣に住む叔母が「りかちゃ~ん」と玄関から母を呼んだ。(母の名前は、りか子といい、りかちゃんと呼ばれることが多い)。すると真っ先にかけつけたのが小さい方のりかちゃんだった。私たちは「りかちゃんが行っちゃったよ~」と笑っていた。叔母は母と少し話してからすぐ帰った。
しばらくするとまたベルが鳴り、今度は祖父が来た。応接間へと迎えると、りかちゃんは祖父とはなれなれしく、祖父もまた元気で小さなりかちゃんを見てにこやかな表情だった。祖父も長居はできなかったが、別れる時はりかちゃんは祖父の指一本を持った。「いつもこういう風にして別れるんだよ」と祖父は言っていた。
次に、りかちゃんは白い画用紙にパステルクレヨンでお絵描きを始めた。まず大きな丸を青いクレヨンで書き、それを「海」だと言い、またその隣に黄色いクレヨンでぐちゃぐちゅあとオレンジっぽい黄色のかたまりを作って「かぼちゃ。かぼちゃを海で洗っているの」と独創的なことを言った。そして紫色のペンで枝までついたぶどうを描き、「電気」と言って上の方に細長いものを2つ書いた。
続いて「アイリーンの絵を描いて」とのリクエストがでて、りかちゃんは紫色で大きな楕円を描き、その中に目・口・鼻をのっぺりと描き入れた。そして耳と髪の毛も加えると、「手と足は?」と姉が聞いたので、ひらひらと羽のような手と二つの短い足をちょんちょんと顔のそばに描いた。私は「これはイメージ図だよね」と言ってごまかしたが、少しむっとしていた。しかし、むかついたのはりかちゃんの絵ではなく、むしろそれを見て大笑いしているサニーや母の方だった。もちろん冗談だということは分かっていたが。
今度は「りかちゃんの絵を描いて」と言われたので、りかちゃんは赤いペンをとって自分の顔を描き始めた。目は丸の中に点が打ってあり、髪の毛は二つ結びだったので、左右に両方向に伸びた。まるでまんがのキャラクターみたいだったのと、二つ結びなどの特徴をつかんでいることにみんなは感心して、「りかちゃん、絵うまいね」などとほめた。私も「私の絵以外は全部うまい!」と冗談で言った。
ここで少し休憩を入れた。ポテトチップスやおせんべい等のお菓子を用意し、またケーキを1人1個ずつ選ぶことができた。りかちゃんはショートケーキを選んだが、ケーキよりもポテトチップスの方を食べた。お菓子とケーキの前で1人ソファに座って幸せそうだった。サニーがビデオカメラでその様子を撮ろうとすると、りかちゃんはカメラにぐーんと近づいていって面白かった。
おやつを食べ終わると、また少し絵を描いた。りかちゃんは赤いクレヨンで丸や線をたくさん描いていたので、「何描いているの?」と聞いたら、「教会」と答えて横に十の字を添えた。見ると確かに教会を表現した絵だった。私にはとても芸術的に見えた。
次に「たこを描く」と言って青色のクレヨンをとり、たこの足らしき線を描いていたが、どんどん本数が増えていってしかも丸くなっていくので、「あれ、たこは足8本だよ」と姉が言うと、「ライオン描いてるの」とりかちゃんは答えた。なるほどライオンのたてがみを描いているのだった。そしてその内側にりかちゃんらしい可愛い目・口・鼻を描き入れた。「体は?」と聞かれ、そのライオンに人間みたいな手をつけたが、「あれ?」と少しおかしそうに見ていた。ゆみちゃんは笑いながら、「そういうのを蛇足って言うんだよ。」と言った。だが、姉が残りの体の部分を描いてくれたので、無事ライオンの絵を上手に完成させることができた。
次に『犬棒かるた』で遊んだ。りかちゃんにとって分かりやすそうな「犬も歩けば棒に当たる」「頭かくして尻かくさず」「泣いてる面にはち」などのことわざを集めて、最初は私対りかちゃんで遊んだ。もちろん、りかちゃんには5秒のアドバンテージがあった。しかし、りかちゃんは分かっているようでもあえて5秒待つことが多かったので、あまりハンデの意味がなかった。
話すことはできても、読むことはあまりできないはずのりかちゃんだが、意外と読み上げた句と一致する絵と文字を間違えずに見つけることができた。しかし、競争心がないので、かるたを先にとられると「とられた~」とただ笑いながらひっくり返るだけだった。また、りかちゃんは負けそうな相手に対する同情が強かった。最後の一枚は明らかにとることができるのに、あえてとらずにお母さんのゆみちゃんのために遠慮した。そして今度はサニーがびりになってしまうと、自分のとったカードの中から2枚ほど出して、「サニー」と言ってそのカードをサニーの方へ送った。そんな様子を見て、りかちゃんは優しい子だなと思った。
また、りかちゃんは途中でかるたが並べてある上をどん!と飛び越えてみたり、また違う場所で、どん!どん!と飛び跳ねて、元気いっぱいの様子だった。私は自分まで元気になれるような気がした。
最後に母のリクエストで『神経衰弱』というゲームをした。その前にりかちゃんに母はトランプを見せ、「これ何の数字?」と1のトランプから順に見せると、りかちゃんはマークを数えて7まで数えられた。それから1から7まで2枚ずつ使って裏向きにして、同じ数字2枚を開こうとする『神経衰弱』をした。今度はあまりハンデもなく、りかちゃんも1人前でプレーした。みんな真剣になって、少ないカードの位置をなるべく覚えていようと努め、ゲームに夢中になっていた。
あっという間にお別れの時間が来て、ゲームをやめて私は既に遅くなってきていた習い事のテニスのために着替えて下へ降りてくると、ゆみちゃんとりかちゃんは既に散らばったゲーム類を片付け始めてくれていた。私はあわてて手伝いだしたが、テニスに遅刻してしまいそうなのえ、また後程片付けると言ってお客さんを玄関まで送った。そして外でお礼と別れの挨拶をした。せっかく楽しんでいたので、もう少し一緒にいたかった気もしたが、すぐ近所に住んでいるので、またいつでも会えると思うとなんだか嬉しい。
Ⅳ 1日を終えて
初めはどう接すれば良いのか分からなくて少し緊張してしまい、またせっかく作ったスパゲティミートソースもあまり食べてもらえなくてがっかりしたが、その後ずっと遊んでいてこれほど楽しい一日を過ごしたのも久しぶりだと思った。りかちゃんは愛情をもって育てられてきた子なので、元気で温かい雰囲気を持っている。唯一困ったのはまだ3歳であるせいか食欲が少なく、また片付けに少し手間取るということぐらいだった。りかちゃんのような小さい子と接すると、困ったことも多少生じるが、それ以上に3歳なのに色んなことができ、思いつくままに芸術的な絵を描けるのを見て楽しく思ったり、感心したり、新たな発見ができたりするので、これからもぜひ忙しくてもりかちゃんと会ってみんなで楽しい時間を過ごせたらいいと思う。