読書プロジェクト(翻訳版)
(マイケル・エンデの『終わらない物語』)
物語の要約
小さくて太っているバスチャンは、いじめてくる仲間からコリアンダーさんの本屋に逃げ込んだ。そこで彼は不思議と魅力的な古い本を見つけて盗んだ。読み始めると、ファンタスティカという滅びかかった世界に入っていった。そこでは子供のような女帝が病気で死にかけていた。若いハンターのアトレユは子供のような女帝の病気の治療を探すミッションを託されていた。アルインという子供のような女帝の力を使えるバッジをもらった。大冒険の末、子供のような女帝は新しい名前を必要としており、人間しかその名前を与えられないことを知った。バスチャンはこれを実現し、物語の登場人物になった。彼の強くてハンサムなヒーローになりたいという夢は叶った。彼はアルインを使って願い事をすることで、少しずつファンタスティカを作っていった。
アトレユとバスチャンはとても仲良くなった。ところが、アトレユとアトレユのドラゴンであるファルカーは、バスチャンが願い事をする度に、太っていていじめに遭っていた元の世界の記憶を失っていることに気づいた。アトレユはバスチャンにそれを告げるが、バスチャンは戻りたくないので、その忠告を無視した。アトレユはバスチャンを救うにはアルインを取り上げるしかないと思った。バスチャンはアトレユとファルカーに対し怒りを表し、もう二度と会いたくないと言った。バスチャンは子供のような女帝がいないので代わりにファンタスティカを制覇しようとするが、アトレユが反乱軍を集めバスチャンにアルインを返すように求めた。バスチャンは結局アトレユを剣で刺してしまった。
バスチャンは昔の皇帝のいる都市に自分がいるのに気づいた。この都市では、皆が狂っているようであった。住民は変わっていて、自分たちが何をしているのか分かっておらず、ひたすら活動していた。みんな人間で、過去に皇帝であったり、もしくは皇帝になりたかった人達であった。バスチャンは人間世界の記憶を取り戻さないと、ここにずっといることになってしまうことに気づいた。
彼はなるべく最後のいくつかの記憶を大事にして、自分の世界に戻る助けにならないのであれば極力消費しないように注意していたが、知らぬ間に仲間を求め、彼のことをそのまま愛してくれる存在を求めた。彼は変化の家に行き、そこで一番欲しいものが何か分かった―それは愛する能力を獲得することであった。その願いをかなえるためには、命の水を飲まなければならなかった。彼は絵の鉱山に行き、その噴水に連れていく道しるべとなる絵を探した。その絵を見つけた時、彼は最後の一つの記憶を失った―彼自身の名前であった。しかし、先程彼が作った生き物がその絵を汚してしまった。何も残っていなくなってしまった時に、祈りに答えるかのようにアトレユとファルカーが現れた。バスチャンはアルインをアトレユに渡した。アルインの二匹の蛇は彼らの前に現れ、その真ん中に命の水があった。バスチャンはそれを飲みながら、子供のような女帝からもらった外見や力などを全て失った。彼は自分の世界に戻った。本はなくなったが、コリアンダーさんはその本のことを知りもしなかった。コリアンダーさんも以前ファンタスティカに違う方法で行ったことがあり、バスチャンに時々店を訪れて、経験談を交わすことを約束させた。
物語の長所
・マイケル・エンデは空想の生き物や場所を表現する独特な方法を持っている。ここに、その例を挙げる。ウィル・オ・ザ・ウィスプの表現である。
それは光る球であり、子供のボールの大きさであった。大きく動き、時に地面に落ちてはまた飛んでいく。光る球の中には小さな非常に活発な生き物が存在し、全力で走ったり飛び跳ねたりしていた。男性でも女性でもなく、そのような区別も存在しなかった。
私はまるでこの小さな生き物が林の中をギザギザと進んでいくのを見ることができるかのようであった。他の表現もこのように詳しく、これらの表現から、物語がどのように進んでいっているのか良く理解ができる。バスチャンやアトレユや他の登場人物と共に、想像力を膨らませることで旅に出ることができる。これにより本は面白く、興味深いものになる。
・登場人物の会話がとても面白い。私はグノミックスの会話が一番好きである。会話というより言い争いに近い。機嫌の悪いアーグルとお説教好きのエンギウックは最高のコンビである。物語の途中には素晴らしい詩も出てくる。
・バスチャンが本を読んでいるだけでなく、実際の登場人物になるところが好きである。その時バスチャンは、『他にもこの本を読んでいて、ただの読者だと思い込んでいる人が何人いることだろうか』と思った。このようにして、作者は本当の読者である私のことも物語に含めている。この本は、現実世界と特別な、不思議な方法でつながっている。これがマイケル・エンデのこの本を書く時の巧で独特な点である。
物語の短所
・この物語では、色々な未解決な話がある。読み終わった時、とても満足ではあったが、何か足りない部分を感じた。子供のような女帝が、終わらない物語を描いている山の上の老人に会う場面がある。バスチャンが終わらない物語を作り始めるようになった後、その老人がどうなったのか分からない。バスチャンが来てから多くの登場人物が消えてしまい、マイケル・エンデは彼らに何が起きたか書いても良かったのではないかと思う。
評価
私は五つの点のうち、四と四分の三点をこの物語につけた。本当は五点をつけたかったが、もしかしたら他の小説を読んでこの物語よりもさらに気に入ることがある可能性もあった。私がこのような高得点をつけたのにはいくつかの理由がある。この本はふつうの本と違う点がたくさんある。
章の作りがとても独特である。最初の章はAという文字に始まり、2つ目の章はB、三つ目はCと、Zから始まる二十六章まで続く。十三章はMから始まり、アルファベットの真ん中の時に、主要な登場人物であるバスチャンが物語を読んでいたのにいきなりその物語の登場人物になる。この時点で、初めはただの空想の世界であったのが、現実になる。
マイケル・エンデは色んな登場人物や場所を描写し、私たちは想像力を膨らませることができる。私の一番好きなところは、バスチャンが願い事をすることでファンタスティカを創造していくところである。この願い事が一つ一つ叶っていく点は素晴らしい。一つ一つの生き物は名前をつけられると、そこに登場するようになると本に書かれている。これはとても賢い書き方だと思う。私も空想の小説を書くのが好きで、登場人物を作るとまるで今までずっといたかのような感覚になる。この物語を読むことで、子供は多くのことを学べる:どんなに大変な状況でも勇気をもって落ち着いていることの大切さ、友情の重要さ、人を愛し愛されることの幸せである。
私はアトレユは素晴らしい友達だと思う。バスチャンが願い事をして自分の世界に戻れなくなるのを一生懸命止めようとしていたからである。不幸にも、バスチャンはそれが理解できず、アトレユを剣で刺してしまった。誰かに対して怒りを感じている時、何が良くて何がいけないのかはっきりと考えることが難しくなる。相手のせいにして、自分の非を認めないことがある。バスチャンのように、一生後悔するようなひどいことをしてしまうこともある。アトレユが重傷を負わなくてバスチャンはラッキーだったと思う。もしアトレユが回復しなかったり、ましてや死んでしまったりでもしていたら、バスチャンは一生その責任を負うことになってしまっていただろう。
この物語は現実世界と空想世界から来た二人の男の子の強い絆を描いている。バスチャンは二つの世界を知っていて、もう一つの世界に友達もいて、とてもラッキーだと思う。
物語はその題名『終わらない物語』の通りである。物語には終わりがあるようでない。最後の文は「それはまた違うお話で、また違う時に話されるでしょう。」である。今の話を終わりにすると同時に、全く新しい話を始めている。『終わらない物語』では数多くの物語が終わっていない。終わっていない物語を終わらせようとすると、また新しい物語が生まれ、それが永遠に続く。私は物語を読むのが大好きなので、ずっと物語を読めるのは素晴らしいことだと思う。世界の中で、さらには宇宙の中で、人生というのは多くの物語の中が存在する中のただ一つの物語である。私はマイケル・エンデがこの本で最も伝えたかったのは、物語は数知れないほどあって、生き物がこの世に存在する限り、それらは永遠に続くということだと思う。
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