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難多き青春

第四章 退屈

 

何か変化を待っている

何かドキドキするようなことを待っている

アルプス山脈を登りたいと思っている

私の勇気はどこへ行ったのだろうと考えている

 


 このノートに前回の詩を書いてから丸一か月が経つ。ゆとりの時間でとっている詩のコースのために私の持っている全ての創造力を使ってしまっているからだ。信じられるかどうかわからないけど、私は詩も飽きてきてしまった。私は今までの人生ずっと詩を書いてきたが、詩が嫌になるのは今が初めてだ。

 一か月で、他の子のこともわかってきた。私の隣に座る男の子と時々話す。彼の名前はケビン・ホーランド。また詩の教室の女の子たちとも少し仲良くなった。

 私はもっと社交的になりたい。でも前も言ったように、キャリーは大きなグループの中に居たがるような女の子じゃない。だから一日中学校で、二人きりになってしまう。人生においてすべてがあなたの好むようにいくわけではない。時々あなたは本当にはあなたを満足させないことでも満足しなければならない。




 あと私は詩にも書いたように、もっと自分の人生が変化すればいいのになと思う。何かワイルドで常識を超越したことがしたい。詩ではアルプス山脈を登りたいと書いたが、本当のことを言うと、そんなに山登りには興味ない。韻をふんでいるから書いただけだ。本当にしたいことは演技だ。私は有名で人気者の女優になりたい。学校での初日のように、私は何となく期待を高めている。私は夢を叶えるためにだったら絶対何でもするし、何でも犠牲にする。私はずっと色んな表情が作れることで褒められてきた。悲しい顔や怒った顔、これがほしいです的な顔、静かにしないと後で殺すわよ的な顔…もちろん、才能があっても私が見せなければ誰も知ることはない。もしかしたら20代になったら女優になってるかも。でも問題は今どうやって楽しいことをできるかなんだ…



 

 「ねえねえ今日パストレル映画館行かない?今『庭のカラス』って映画やってるみたいよ。ミッキー・ハンソン主演の。」

 今日は日曜日。キャリーは70年前にできた映画を見に行かないか私を誘ってきた。パストレル映画館は古くて白黒の映画しか上映しない。私を死ぬほど退屈させる。前回キャリーが私をあそこに連れていった時、私は映画中ずっと寝てしまった。



 「あ、ごめん、あの…私…ご近所さんのベビーシッターしなきゃで。」

 「何時から?」

 「えっと…一日中。」

 「どのご近所さんなの?」

 「えっと…ウィッテン家の。エミーとチャーリー。」



 「本当に?バリンの家で大きな誕生日会があって、エミーとチャーリーも行くって言ってたよ。」

 「あ…私も行くの。ヘルパーとして。」

 キャリーは電話の向こうからくすくす笑った。

 冷や汗が私の額から出た。「あの、キャリー?何がそんな面白いの?」

 「バリンは今日誕生日会がないのよ。それなのにアイリーンは今ヘルパーとして行くって言った。」

 「えっ、嘘ついたの?」私は信じられないように叫んだ。

 「アイリーンが先に嘘ついたんじゃない。何が起きてるの?」




 「えっと、本当はね…」古い映画を見るのは好きじゃないと言いたかった。でも、私はまるっきり違うことを言ってしまった。「今日お母さんのためにたくさん用事しなきゃいけないの?」

 「どうして?一日中?」

 すぐに、私は間違った言い訳を思いついたことに気付いた。でも変えるには遅すぎた。「あ、うん、今日一日中用事しなきゃなんだ。それで理由は…最近全然してなくて、今日が一番追い付くのにいい日だから。」

 「なんでそう言わなかったの?どうして嘘をついたの?」

 「えっと…まぁ用事がキャリーより大事だなんて思ってほしくなかったから。」




 私はキャリーの顔がとても混乱しているのを想像できた。

 「あら、そう…。じゃあ用事頑張ってね。」

 キャリーは電話を切った。私はしばらく電話を眺めた。映画館に行った方が良かったかしら。私は少し罪深い感じがした。なぜかというと、キャリーは本当に古い映画が好きなのに、私は好きじゃないからといって誘いを断ったから。




 私は首を振った。いいや、私は正しいことをした。つまらない映画を見ながら一日を過ごす必要などない。私にはもっとやりたいことがある。

 私は自分の部屋に行った。何か興味深いものはあったかな、と周りを見渡したけど。何もない。唯一私の部屋の中で面白いものは本棚。タンスにはトランプやボードゲームが入っているけど、誰も遊び相手がいない。外に行ったら少し気分が上がるかな。公園に行ったり、もしかしたらデパートに寄って少し買い物したりできるかもしれない。私は上着と財布をつかみ、ドアの方へ歩いた。




 その時、私は突然止まった。キャリーは私の家のすぐ近くに住んでいる。もし私が外にいるのを見たりしたら?私はため息をついて、上着を脱いだ。

 私はベッドに寝そべり、何をしようか考えた。本棚に二回未満しか読んでいない本なんて一つもない。新しい本を買いたいけど、本はお金がとてもかかる。まあ今日外に行かれれば買えたかもしれないけど。




 私はだんだんさみしくなってきた。姉妹がいれば良かったな。ふらふら私の部屋に入ってくるかわいい妹。あるいはいつでも話したり頼りにしたりできるような姉。それか生意気な兄弟でも良かった。私の友達はいつも自分の姉妹や兄弟のことで文句を言うが、私はそれを聞くと怒りを感じる。

 30分くらい、ただ自分が姉妹や兄弟と一緒にいるのを想像してみた。双子がいることまで想像した。私は想像力豊かで、会話や動きまで思いつく。

 そして4回ぐらい読んだことある本を1時間ほどかけて読んだ。

 さらに、くまのぬいぐるみとウノで遊んでもう1時間を過ごした。

 ついには、大きなため息をついて、英語の教科書を取り出し、単語を覚え始めた。日曜日の昼に勉強しているなんて。信じられる?私は世界で一番つまらない14歳であろう。いや、キャリーがいるから2番目か。




 最後に、私は青いノートを出し、詩を書き始めた。鉛筆が紙の上を走るように動いた。退屈と書いた…





 
私は十代だ。十代ってもっと楽しいはずじゃない?私がこのつまらない部屋で何もしていない間に、何百万という人が楽しい時間を過ごしているだろう。でも、貧しい人は自分の部屋すら持たない。私は退屈であろうと、そうでなかろうと、きっと幸せな女の子であることには変わりないのかな。

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